日本脳炎ワクチンについて

日本脳炎は蚊から伝播する病気ですが、
不顕性感染(日本脳炎感染蚊に刺されても発症しない)の多い病気です。

現在日本脳炎の発症はほとんどが老人であり、小児はほとんどありません。
老人感染者数も現在ではかなり減少しています。

このことは衛生環境の改善が示唆されています。


このことを踏まえて日本脳炎ワクチンについて考えてみたいと思います。


現在ワクチン副作用のため積極的な接種の勧奨は控えられている状況です。

厚生労働省は勧奨を控えるようにから、18年3月に接種希望者には接種するように通達を出しました。
ただし、現在も接種するためには承諾書を必要とします。

日本脳炎ワクチンは豚の日本脳炎抗体獲得数によって流行予測が立てられますが、
日本脳炎患者はほぼ高齢者(それも全国で年間数例)に限られます。

小児科学会では流行地域に住んでいる方はワクチンを打った方がよいとしているようですが、
果たして本当に今すぐ必要なワクチンなんだろうか?と考えてしまいます。

新しい危険度の低いワクチンを5年くらい待ってもいいのじゃないかと考えます。

平成4年から発症患者数はほぼ一桁です。
http://www.kenkou.pref.mie.jp/topic/nitinou/kanjyasuu.htm

三重県は豚の日本脳炎抗体獲得率が高い地域ですが、
それでもほぼ小児の日本脳炎発症はワクチン接種を控えた後も0になってます。
(2006年度に3歳児が熊本で日本脳炎になったと報告がありましたが)

これを見る限り、豚の抗体獲得率と患者発生数は比例していないことになります。

今後しばらくはこのような傾向がつづくと予測(過去にワクチンなどで抗体を獲得しているからとされています。)しますので、
まだ積極的に打たなくてもいいのでは?と思ってします。
完全にやめてしって10年ほどすると発症患者は増える(お隣韓国がそういう傾向があった)のではないかと
考えられるので、将来的には接種の必要性はあると思います。

日本では学会などで発言力のある人がいると、科学的根拠に乏しくてもそちらの方に意見が集約され
ミスリードされることが多いことは歴史が証明しています。

医薬ビジランスセンターの浜六郎氏は日本脳炎ワクチンは必要ないとしています。
この意見が正しいとは限らないですが参考にはなるでしょう。


三重県では小児科医会から積極的に接種するように案内がでていますが
地域によってはちょっと考えてみた方がいいかもしれません。

ワクチン推奨派とワクチン否定派の学者がいるはずです。
そのどちらの意見もきちんと情報として流して欲しいものです。

医療者はその上で科学的根拠を検証し自分なりの意見を持つことが大切だと考えます。
学会のサイトを見ても推奨派の意見しか載っていないです。


ちなみに三重県の豚日本脳炎抗体は松阪市の家畜農家で測定し、
日本脳炎感染情報を出しています。
松阪市、伊賀市に豚家畜農家が多いようです。

日本脳炎感染蚊は豚感染地域から半径2キロ以内が危険度が高いといわれています。

積極的その地域にいかないのであれば積極的な接種の必要はないように思います。
このため当院では地域的に積極的日本脳炎ワクチンの接種は行っていません。

しかし、海外流行地域渡航希望者の方には接種します。
現在の日本本脳炎ワクチンはWHOでは流行地域への渡航に際し推奨されています。


自分で情報を収集しすべてのワクチンが必要かどうかを一度考えてもいいかもしれません。

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